相談したくてもできなかった人が
「3人に2人」もいる現実
一般調査では、悩みを抱えた際に「相談したかったが、相談できなかった経験がある」と回答した人が68.3%に上りました。実に3人に2人以上が、「本当は誰かに話したかったのに話せなかった」という経験を持っているのです。
そして、「誰にも相談せず一人で抱え込む人」は6.7%というデータも出ています。
この割合を小さいと考えるべきではありません。100人いれば約7人、1000人いれば67人です。職場や学校、地域社会の中にも、周囲には見えないまま孤独な悩みを抱え続けている人が必ずいるということを意味しています。
にもかかわらず、先ほど見てきたように「相談したいけれど相談できない」状況に多くの人が陥っています。先出の「相談すること自体への抵抗感の理由」のグラフを見ても「相談しても解決しないと思う」「相談するのが苦手」「自分で何とかすべきだと思うから」「評価が下がるのが不安だから」など、理由はさまざまですが、そういった理由で相談せずに我慢・放置し続けていると、どうなってしまうのでしょうか?
その結果もデータで現れています。下図の「相談しなかったことによる影響」を聞いた一般調査において、もっとも多かった回答は41.8%の「ストレスや不安が増した」でした。
同書より転載 拡大画像表示
悩みは放置すれば自然に消えるものではありません。むしろ頭の中で繰り返し考え続けることで、不安は増幅し、ストレスは蓄積されていきます。
体に支障をきたす前に
誰かに頼る強さを
さらに22.2%の人は、「身体・生理的影響があった」と回答しています。眠れなくなった、食欲がなくなった、頭痛や胃痛が続いた、疲れが取れない。こうした症状は決して珍しいものではありません。心の問題は、しばしば身体の問題として現れるのです。
『悩みの統計学』(藤田康男、扶桑社)
そしてもっとも深刻なのは、7.1%の人が「医療機関の受診や薬の服用が必要になった」と回答していることです。もちろん、医療機関を受診すること自体は悪いことではありません。適切な治療を受けることは非常に重要です。しかし、もっと早い段階で相談できていれば、症状の悪化を防げた可能性もあります。悩みは、小さいうちに誰かと共有した方が対処しやすいものです。火事に例えるなら、相談は火の用心、火の元確認、または、初期消火のようなものです。小さな火種を前もって取り除き、仮に火が出ても初期段階であれば消すことができますが、燃え広がってしまうと多くの時間と労力が必要になります。
データから見えてくるのは、「相談しないこと」の結果として多くの人がストレスの増大や身体的不調を経験していることです。悩みを抱えたとき、つい「もう少し頑張ろう」「自分でなんとかしよう」と考えるかもしれません。しかし、本当に必要なのは、我慢ではなく、誰かに話してみることです。相談とは、弱さの表明ではありません。一人で抱え込まないための知恵であり、自分自身を守るための行動です。現代社会において必要なのは、「悩まない人」になることではなく、「悩んだときに相談できる人」になることなのではないでしょうか。







