手術支援ロボットを操作する医師写真はイメージです Photo:PIXTA

患者数や手術件数を増やせば、病院経営は安定するのか。じつはそう単純にはいかない。高度な医療ほど大きなコストがかかり、病床稼働率だけでは本当の採算も見えてこない。診療科ごとの収支を詳しく調べると、意外な結果が浮かび上がった。※本稿は、小児外科医の松永正訓『大学病院の正体 手術、人事、教育、研究のすべて』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

患者を集めるための目玉の
ロボット手術が赤字を生む

 内視鏡手術やロボット支援手術を積極的にやっているのは、大学病院も一般の公立病院も同じである。今の時代、低侵襲手術(編集部注/体への負担をできる限り小さく抑えた手術)を行わないと患者が病院に集まらない。ところがロボット支援手術には診療報酬以上の高コストがかかり、病院経営を圧迫するという矛盾がある。はっきり言ってやればやるほど赤字になるが、やらざるを得ないのが現状である。

 多くの大病院は赤字を抱えている。千葉大病院もそう。2023年度の経常損益は35億円の赤字で、42の国立大学病院中、最下位だったという。病院長は懸命に赤字解消に取り組んでいるが、2024年度も赤字のワースト5に入っていたらしい。外来患者も毎日およそ2000人だし、手術件数も年間1万件を超えているのになぜ赤字なのか?

 病院の上層部は相当な危機感を持っているはずだ。赤字を減らすにはどうしたらいいのだろうか。答えは簡単で、それは患者をたくさん診ればいい。というか、病院の収入はドラマのロケを除けば診療報酬しかない。1人の患者から得られる報酬は増やしようがないので、患者の数を増やすしかない。