そのアンサーとして筆者は、資源に乏しくエネルギーや食糧を自給できない日本にとってはGDPもさることながら、特に「外貨を稼ぐ力」を向上させることが重要だと考える。

 私たちが今、エネルギー価格の上昇と円安で生活が苦しくなっているのは、「外貨を稼ぎ国内に還元する」流れが弱くなっていることと大きな関係がある。外貨を稼ぐ力が大きければ価格上昇に対応できるし、貿易収支の改善を通じて円安にもなりにくい。

 この事実を、国民ひとりひとりがどれだけ意識できるかも重要だと思う。もちろん意識の醸成には、国家としての強いメッセージが必要だ。

 高市早苗政権においては重点17分野での投資促進など、「日本を豊かにする」政策が進められている。方向性自体はいいと思うのだが、果たしてこの政策が国民ひとりひとりの稼ぐ力、すなわち付加価値を生み出す力を高めることに結びついているのだろうか?

 国民ひとりひとりの稼ぐ力を高めることがいかに大事か、その道筋をもっと具体的に示し、実現していく必要があるだろう。それこそが政治の役割ではないだろうか。

 足元では、飲食料品の消費税8%→1%減税について財源の問題などに焦点が当たりがちだ。が、今こそ本当に必要なのは日本全体で人材不足の制約がある中で、1人当たりの「外貨を稼ぐ力」をどう伸ばしていくかという問いの設定とその議論、飽くなき試行錯誤だと思う。

 高市首相は所信表明において、経済の語源である「経世済民」という言葉を引用して演説した。かつての経世済民には、社会インフラや社会保障の充実なども含まれていた。しかし、日本は成熟社会だ。インフラや社会保障がある程度実現した現在、これらを維持していくためにも個々人の稼ぐ力を高める必要がある。

そりゃインドにも抜かれるわ…GDP「6位転落」予測の日本に〈決定的に足りないもの〉