参院予算委員会で答弁する植田和男日銀総裁参院予算委員会で答弁する植田和男日銀総裁=10月19日、国会内 Photo:SANKEI

基調的な物価上昇率2%到達と同時に
金利正常化の仕上げ時期も近づく

 植田和男日本銀行総裁は、政策金利の1.25%への引き上げを決めた9月の金融政策決定会合後の会見で、金融政策の局面が変化しているとの見方を示した。

 これまでは基調的な物価上昇率が物価安定目標の2%より低いとみられる中で、それを上昇させることを目指していたが、今は基調的な物価上昇率が2%に接近しつつあるので、それを2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になっているというわけだ。

 会見でも、基調的な物価上昇率が2%の物価安定の目標を超えて上振れし、経済に悪影響を及ぼすリスクが改めて強調された。

 その後も、植田総裁は、金融政策の局面変化という考え方を繰り返している。

 今月16日の全国信用組合大会の挨拶文(内田眞一副総裁代読)でも、基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させる重要性がより強い表現で記され、同日のタイ・バンコクでのG20財務相・中央銀行総裁会議後の会見では、基調的な物価上昇率について「2%におおむね近く、これ以上上がることは容認できない」と一段と厳しい表現を使ったと報道されている。

 物価を上昇させるという特異な金融政策の時代が終わり、インフレを抑えるという通常の金融政策への回帰を目指していると言うこともできるだろう。

 だが、日銀が基調的な物価上昇率が2%に近づいていることを強調するということは、中立金利に向けての利上げも仕上げの段階に入ってくるということだ。

 植田総裁が強調する「局面の変化」は、基調的な物価上昇率の2%到達だけでなく、中立水準に向けた利上げの仕上げという二つのシナリオが同時に実現する確度が高まってきたと認識しているからだと考えられる。

 筆者は、今後、日銀が12月に追加利上げをしたあと、2027年度にかけて到達した水準、おそらく1.75%か2.0%が中立水準の落ち着きどころになると予想している。