「飛ぶ技術」の本命は
自動車ではなかった?

 今回のこの技術、要素として考えると「(1)2トンぐらいの重さの物体を、(2)数メートル上空に持ち上げてコントロールでき、(3)そのために用いるのが圧縮空気のため繰り返し利用が可能」な技術ということです。

 ではその技術が応用できるビジネスシーンとは何でしょうか?車ではないものを飛ばすことを含めて考えると、これまでクレーンで釣り上げてきたものが、この技術でとってかわることができそうです。

 費用対効果は別にして発想として考えれば、マンションの上階にグランドピアノを納品する際に、クレーンではなくこの技術を用いるといったシーンには使えそうです。

 その発想の延長でいえば建設現場でのクレーンの作業はこの技術を用いた空飛ぶ運搬具で、どんどん運ぶことができるかもしれません。

 一見、ビジネスになりそうなアイデアですが、そもそも長年使われているクレーンも実用的には洗練された技術です。クレーンでは運べないような高い場所ならというと、これからの時代にはドローンの出番がやってきます。

「なあんだ。結局、テスラの空飛ぶ車の技術には何も実用性はないじゃないか?」
と馬鹿にするのはちょっと早いかもしれません。みなさんが忘れていることがひとつあります。

 テスラの製品の中で空中に浮かせることで画期的な実用性をもたらす製品がひとつあるではないですか?

 それはテスラが開発中の二足歩行ロボットのオプティマスです。

 2トンのロードスターを浮かせる技術であれば、それよりも軽い人間と同じくらいの体重のオプティマスを浮かべるのは簡単に応用できます。それで何ができるのかというと、高所での作業をすべて人間ではなくオプティマスに任せることができるようになります。

 今、中国を中心にフィジカルAIの開発が盛んになってきていて、歩行や走行の技術はかなり高いレベルに上がってきています。そこに人間と同じ「器用な指」をAI技術で実現しようというのが今の挑戦で、これが数年内に実現できれば人間型のフィジカルAIロボットが工場や飲食店など人間の職場にどんどん入っていくだろうと予測されています。

 テスラのオプティマスもその競合製品のひとつだったのですが、そこにもし飛ぶ機能がくわわったとしたら?