トランプ大統領の怒りを買った「外交上の失言」とは何だったのか。話を戻すと、ドイツの専門家の多くは、今回の米軍撤退計画を、メルツ首相に対する「報復措置」だと見ている。
メルツ首相は4月、米国のイラン侵攻をめぐり、ある発言をした。ドイツの小さな州で開かれた学生向けのイベントだったので、トランプ氏の耳にまで届くとは想定していなかったのかもしれない。しかし、こうした不用意な発言は、一国のトップとして許されるものではない。
メルツ首相は次のように述べた。
「アメリカには明らかに戦略がない。(中略)米国がどのような戦略的出口を選ぶつもりなのか、私には分からない。イラン側が明らかに非常に巧みに交渉している一方で、米国はイスラマバードに飛んでは、何の成果も得られないまま戻ってくる。イラン政府は米国をさらしものにしている」
この発言を知ったトランプ大統領は、SNS「トゥルース・ソーシャル」ですぐさま反応した。米軍撤退をちらつかせ、こう言い返したのだ。
「彼は自分が何を話しているのか分かっていない!」
さらに、ドイツが「経済的にも、その他の面でも苦境に陥っているのは不思議ではない」といった趣旨を述べた。
ドイツの首相は、これまでもたびたび失言してきた。が、メルツ首相は今やドイツ史上、最も不人気な首相となっている。
とはいえ、たとえトランプ大統領とメルツ首相との関係が悪化しても、米国とドイツが信頼できるパートナーであれば、このような報復の仕方はしないはずだ。
本当の問題は何か
トマホークが変える同盟の論理
米軍が駐留する国の中で、ドイツは日本に次いで米兵の数が多い。つまり、ドイツは米国にとって極めて重要な戦略的パートナーだ。
ドイツには、米欧州軍司令部と米アフリカ軍司令部の両方が置かれている。ラムシュタイン空軍基地は、中東に向かう米軍部隊や物資の主要な中継拠点だ。欧州、アフリカ、中東に展開する米軍にとって、重要な兵站拠点でもある。







