ドイツのヨハン・ワーデフール外相は、ラムシュタイン基地について、米国とドイツの双方にとって「代替不可能な役割を果たしている」と述べた。実際、イランで負傷した米兵の治療もドイツで行われている。

 トランプ大統領は、米軍の撤退によって、米国自身の軍事戦略の基盤を揺るがしているのだ。

 ここで、トマホークの問題に戻ろう。2024年のNATO首脳会議で、バイデン政権はトマホーク、SM-6ミサイル、極超音速兵器をドイツに無償で配備すると約束していた。しかし、トランプ政権はこの約束を撤回。ドイツは「抑止力」のために自費で、新たな借金をして調達しなければならなくなった。

 その財源となるのが、メルツ政権下の法改正によって可能になった借り入れだ。GDPの1%を超える防衛支出が、憲法上の債務ブレーキの適用対象外となった。

 トマホーク1発の価格は約170万ドル(約2660万円)とされる。以前検討されていた400発を前提にすると、ミサイル本体だけで約11億5000万ユーロ(約2026億円)に上る。さらに発射装置や訓練、関連インフラの費用も加わるため、総額は大幅に膨らむとみられる。

 ロシアはすでに、核弾頭を搭載可能なイスカンデルミサイルを、カリーニングラード(ポーランドとリトアニアに挟まれたバルト海沿岸にある、ロシア最西端の飛び地領)に配備している。トマホークは、まさにこの脅威を抑止するために想定されていた。

 国費購入によって抑止力の空白は回避された。しかし、その代償として、ドイツは戦略的自立性を高めるための困難な道を歩み始めた。

日本にとって
信頼できる同盟とは何か

 ところで、トランプ大統領がNATOや一部のEU加盟国の首脳に敵対的な姿勢を取っていることを、「日本が好機として利用できる」という見方は現実的ではない。

 日本には、約5万3000人の現役米兵が駐留し、15カ所の主要な米軍基地が置かれている。駐留米兵の数は世界のどの国よりも多い。