マンション羅針盤#13Photo:PIXTA

新築物件の値上がりに伴い、高経年(築古)マンションが注目されている。だが、実は築年数がたったマンションは、建て替えや管理面で深刻な影響をのちのち及ぼすことがある。『マンション羅針盤 管理&売買』の第13回では、そのリスクをマンション管理士が指摘する。(マンション管理士 澤田 亮)

管理のプロとしてはお勧めできない築古マンション
そのリスクは建物の古さだけではない

 私の実感値ですが、マンション管理の実務に携わる人間ほど、実はマンションを購入しない傾向があります。大都市圏では事情が異なると思いますが、特に戸建てとマンションの価格差がそれほど大きくない地方都市では、戸建てを選択している人が多いのです。筆者自身も、ついのすみかには戸建てを選択しました。予算や家庭の事情という理由が大きいものの、マンション管理に仕事で携わり管理の難しさを日常的に強く感じている中、自分でマンションを購入することは検討の俎上にも上がりませんでした。同様に仕事で数多く管理に携わってきた高経年(築古)マンションなどはもっての外でした。

 私はマンション管理士のほか、不動産仲介業も営んでいるため、マンション購入に関する相談を受けることもあります。その中で気になるのが、価格が格安ということもあるのか、高経年マンションを購入したいという相談がこのところ増えているということです。高経年マンションに明確な定義はありませんが、おおよそ築40年以上経っているものを総称してこう呼びます。

 私が人に高経年マンションの購入を勧めることはほとんどありませんし、相談される方には、いつも「止めはしませんが、お勧めはできません」と回答しています。なぜなら、高経年マンションには多くの問題が潜んでいる可能性があるにもかかわらず、それらを事前に把握することが非常に難しいからです。

 今回は、筆者が出合った事例の中から、「管理の極北」といえるような高経年マンション管理の実例をご紹介したいと思います。