長年デフレに苦しめられてきたビール業界についにアベノミクスの恩恵か。これまで経費削減で毎年縮小してきた夏の中元用のビールギフト販売が、業界全体で16年ぶりにプラスとなった。

 中でもプレミアムビールの勢いが強い。アサヒビールはギフト専用商品としては初めてプレミアムビール「ドライプレミアム」を投入し190万セットを売ったこともあり、ビールギフトの売り上げが8月20日までの累計で前年比11%の2桁増となった。また、サントリー酒類でも「プレミアムモルツ」のギフト出荷が前年比で5%伸びた。

 業務用のたる需要の伸びも続いている。中でも従来の生ビールではない“変わり種”が需要拡大に貢献した。

ギフト商品の好調と業務店での変わり種ビールが伸びた(写真はキリンの一番搾りフローズン〈生〉)
Photo by Yoko Suzuki

 アサヒが2010年から展開している、マイナス2度で提供する「エクストラコールド」ビールのサーバー設置店は、7月末で5400店を超えた。販売開始から12年末までの3年間で約3000店だったことを考えると、設置スピードは上がっている。

 キリンビールでは、昨年から展開している生ビールの泡をシャーベット状にして生ビールの上に盛る「一番搾りフローズン〈生〉」の効果で業務用たる出荷は前年比プラスが続く。全国6カ所で夏限定のフローズン生を提供する「一番搾りガーデン」は、7月末までに来店客数22万人を突破した。

 フローズン生のサーバーの設置店も、すでに年間目標数の2000店を突破。これらのビールは一般的に通常の生ビールより単価が高く人気もあるため、飲食店側にとって導入するインセンティブが働くことも設置増の要因になっている。