なぜビールを飲むと太るか

「ビールは太る」「太るからビールはやめた」…まるでメタボ腹の原因かのように言われることもあるビール。仕事が終わった後の、あの喉越しをこよなく愛する私としては、そんなビールの名誉を全力で守りたいと、日々、思っている。

 事実、これまで8000通り以上の食事記録をみてきたが、お酒のせいだけで太った人は見たことがない。それよりも、「夜は飲み会だから、昼はカロリー抑えてそばだけでいいや」「昨日のお酒が残っているから朝ごはんはパス」という人の方が、お腹周りがどうも気になる。

 そもそも、アルコールは、エンプティカロリーともいわれる“からっぽのカロリー”。エネルギーとしてすぐに使われるので、すぐに体重増加につながるようなものではない。

「じゃあ、なんでビールを飲むと太るんだ!」って、それはビールに合うおつまみが大きな原因。ビールとから揚げ、ポテトサラダ、焼き肉の相性は誰にも否定できないが、「ビールとほうれん草のお浸しの組み合わせが最高!」と言っている人はいまだお目にかかったことがない。ビールに合うおつまみ達がいずれも「太りそう」なものであることは間違いない。

 でも、勘違いしないでほしい。この連載は、そういうおつまみをやめればお酒を飲んでも太らない、という単純な話を紹介するものではないのだ。むしろ、楽しく飲んで、好きなものをおいしく食べるための方法をお伝えしていきたい。

 だって、人生守りに入るだけなんてつまらない。健康ではいたいけれど、健康が人生のすべてではないはずだ。よく笑い、おいしそうにごはんを食べる人は、男女問わずモテる。少なくとも、好感はもたれる。草食男子全盛期の日本だからこそ、ガッツリ食べる男に見られる生命力の片鱗が、勝ち組ならぬ“モテ組”になるカギではないだろうか。

おつまみを食べなければ
お酒を飲んでも太らないって本当?

 ところで、こんな経験をしたことはないだろうか。あまり食べずにお酒を飲んでばかりいたら、なぜか翌朝に体重が減っていた…なんてこと。もしも、ここで「そういえば、お酒のカロリーはエンプティカロリーだって言っていたし、おつまみを食べなければお酒を飲んでも太らないんだ」と思ってしまっていたら、それは危ない落とし穴。

 お酒は、適量であれば百薬の長といわれるが、アルコール自体は体にとって毒となるもので、体の中にため込んでおけるようなものではない。そのため、お酒を飲むと、肝臓はアルコールを分解しようと働く。働き蜂のように、あなたというご主人様のために必死で働く。そうするとどうなるだろうか。当然、肝臓は疲労する。そうやって肝臓の負担が増えれば、その分、代謝は下がるし、「前よりも太りやすくなったな…」なんてことになってしまうのだ。だから、お酒を飲んでも太らないようにするには、肝臓が疲労した「翌日」にまで目を向けることがポイントとなる。