誘われた時、言い訳から考えていないか?
――まず「巻き込まれてみる」人ほどハッピーに
南 仲間と何かを企てるとき、本田さんが一番面白いと感じる瞬間はどんなときですか?
本田 いろんな能力が集まって、それが足し算ではなく掛け算になって、思っていた以上のパワーになって成果が生まれる瞬間が面白いよね。
南 化学反応みたいなものですよね。ひとりでは掛け算はできませんし、ひとりでできることって限られてますもんね。
本田 トライアスロンもそうだと思う。いろんな人が集まって「アスロニア」という組織ができて、「トライアスロンはとてもいいことだから、みんなに体験してもらって普及したらいいな」という想いから始まって。それまで日本でのトライアスロンの認知度は高くなかったんだけど、今はトライアスロンがいいイメージになって、日本でも競技人口が格段に増えている。
南 そもそも、本田さんはどういうきっかけでトライアスロンを始めたのですか?
本田 ハワイはトライアスロン発祥の地だから、ハワイに住んでなければやっていなかったかもしれない。周囲の人が始めて、面白いからやってみろと勧められて。いいタイミングで優(プロアスリート・湯本優さん)を紹介してもらったり。
南 化学反応ですね。人が人をさらに呼んできて掛け算になっていって。でも、なかには「やりたいことが見つからないからどうすればいいかよくわからない、だから仲間も集められない」という人もいるようです。そういう人に何かアドバイスはありますか?
本田 そういうふうに思っているからいい人が集まらないんじゃないのかな。自分のなかで「こうありたい」とか「こうしたい」とかがないと、それに共感する人も集まりようがない。本人がわかっていないことを、周りの人はわかりようがない。
南 僕はよく、「やりたいことがわからないなら巻き込まれてみたらいい」とアドバイスすることがあります。僕も完全に湯本さんに巻き込まれてトライアスロンを始めましたからね。やりたいことがないなら巻き込まれてみればいいし、誰かの指示に従ってとことんやってみるのも、ひとつの仲間のつくり方かもしれない。
本田 それもそうだよね。俺も、トライアスロンはある意味巻き込まれた部分もあるかもしれない。
人は何かを勧められたとき、すぐに行動を起こすヤツと、「今忙しいから……」と言い訳から始めるヤツと、2種類に分かれるよね。本当はみんなそんな暇じゃないし、暇だからやってるわけじゃない。でも、そこで行動に移せる人間なのかそうじゃないのかで将来が大きく分かれるなって思う。何事もすぐに動ける人は、ビジネスにおいてもハッピーにやっているよね。