東京オリンピックの開催が決まって、日本中が歓びに沸いている。

 私は過去4回オリンピック開催地決定のニュースに接してきたが、そのどれよりも今回の歓迎の声は大きく深いような気がする。

 前回の東京オリンピック決定の頃は、日米安保条約の改定をめぐり国論が真っ二つに割れていて国を挙げて歓ぶという雰囲気には遠かった。幸い、安保が決着し高度成長が軌道に乗った1964年の開催年にはようやくほぼ挙国的な体制が整ったと記憶している。

 その後、私は長野の冬季オリンピックで招致活動の一翼を担い、開催決定時にはバーミンガムの会場で飛び跳ねて歓んだ。だが、長野はともかく国民的規模での盛り上がりがあったとは言えない。

 今回の決定後、よく行くコンビニでこんなことがあった。

 ふだんは口数の少ない60歳ほどの店員の女性が、「オリンピック、よかったですね」と満面の笑みで話しかけてきた。「何か希望が湧いてきました」と言う。

「これから日本は大きく変わりますよ」と私が言うと、「私もそう思います」と答えた。さらに私が「良いほうに変わるんですよ」と言うと即座に「私もそう思います」と一段と真剣に答えた。

 この人は言わば平均的な人。私は大半の日本人が私と同じ気持ち、同じ理由で開催決定を歓迎したのだと確信した。

4年前とは大きく異なる
東京圧勝の2つの要因

 東京圧勝の要因は数多くあるだろう。それらが一体となり、その相乗効果で今回の結果をもたらした。

 しかし、それでも最大の勝因はある。言うまでもなく、それは日に日に高まってきた国民世論の格別の熱意である。