
村上誠一郎総務相は、「県庁は不要」「道州制も不要」と国会で発言して波紋を呼んだ。その真意は何なのか。特集『公務員の危機』の#6では、村上総務相に、地方自治の課題とビジョンを語ってもらった。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
人口が半減したとき、1700市町村から成る
地方自治のシステムは行き詰まる
――公務員の人材確保が難しくなっています。地方公務員も含めて、給与が民間より少ないという声も聞きます。
日本の財政が潤沢であれば、もっと(改善)したいと思っています。ところが国と地方合わせて1500兆円近くの借金がある。この財政状況を踏まえると、育児休暇の取得など、共働きで勤めやすいようにするのがいいと思います(国家公務員の人材確保についての詳細は、本特集の#3『村上総務相が語る、中央省庁の「忖度文化」を改める秘策とは?“国家中枢の危機”は政治が招いた』参照)。
――ダイヤモンド編集部は、ダイヤモンド・オンライン上で、公務員へのアンケートの回答を募集中ですが、これまでに届いている回答を見ると、非正規公務員の問題が教育現場などで深刻になっているようです。
いろいろ指摘されていますが、給与の面ではずいぶん改善して、ボーナスみたいなものも出るようになりました。具体的には、会計年度任用職員制度を導入した際に、期末手当は出るようになった。さらに法改正をして勤勉手当も支給可能にしており、常勤職員と同様の取り扱いにするよう総務省から言っているところです。
問題は自治体間で経済力に差があることです。東京都のように潤沢なところはどんどん(正規化や賃上げを)やれるけど、そうはいかない自治体もある。こうした自治体はなんらかの対応が必要になると思っています。
――公務員の待遇改善に、国民の理解を得るには、デジタル化を含む仕事の効率化や取捨選択が必要ではないでしょうか。「財務省解体デモ」に見られるように、公務員に対する厳しい目があるのも事実です。そうした中で、「県庁は要らない」「道州制も要らない」と国会で発言され、注目を集めました。