今年のプロ野球日本シリーズは、巨人対楽天の対決となった。巨人がV9以来40年ぶりの日本一連覇を達成するか、楽天が初優勝するか、注目される。

 人気球団同士が日本一を争う今年の日本シリーズは、親会社や関連の百貨店・スーパーなどの応援セール・優勝セールによる経済効果も大きいとみられる。経験則上、この対戦カードは日本の景気が現在、景気拡張局面にあることを示唆している。

たくもり・あきよし
三井住友アセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト。1957年東京生まれ。1980年3月慶應義塾大学経済学部卒業、同年4月三井銀行(現、三井住友銀行)入行。調査部、市場営業部などを経て94年11月さくら証券チーフエコノミストに。2001年4月さくら投信投資顧問チーフエコノミスト、02年12月三井住友アセットマネジメント、チーフエコノミスト、12年4月1日より現職。主な著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)、「日本経済『悲観神話』はもういらない」(中央公論新社)など。 

 プロ野球は、国民的人気ナンバーワンの「見るスポーツ」である。今年の読売新聞の「見るスポーツに関する世論調査」(3月2日朝刊掲載)の「プロ野球チームの中で好きなチームは」の回答によると、巨人が好きな人は全体の29%、中日は6%、阪神は10%、広島は3%だ。これを基にセ・リーグのチームの人気ランキングを作ってみると、1位は巨人、2位は阪神、3位は中日だ。一方、パ・リーグでは今年は、日本ハムが4%で第1位、第2位は楽天とソフトバンクが3%で並ぶ。

人気球団同士の対戦は
過去15回中14回が景気拡張期

 セ・リーグとパ・リーグの代表が争う日本シリーズの組み合わせは、景気の良し悪しに連動するケースが多い。巨人のような人気球団が、パ・リーグの人気球団と対決した年は、景気が拡張局面になることが多い。1986年以降の結果を調べると、セ・パ両リーグの人気ランキングを足し合わせた合計数が2~5のケースは15回あるが、そのうち景気拡張局面は14回で、景気後退局面は1回だけである。