娘の大学では、学生側が主催する『業界セミナー』が、11月半ばから、約1ヵ月間キャンパスで行われている。参加企業は延べ100社程度。商社、金融、マスコミ、運輸など業界ごとに、毎回4社程度が参加する。会社からの説明の後、ディスカッションや各企業の個別質問会がある。合同説明会よりは落ち着いて話が聞けるし、大学の教室を使って行われるので、授業の合間に顔を出すことができる。学生間では好評のようだ。

「9月には、業種も企業もこれからだと話していたけど、少し方向性は出てきたの?」

「まだまだ絞り込めてはいないけど、『業界セミナー』に続けて出席していると、自分の好みが少し見えてくる気がする」

「それは、業界という単位でわかってくるの?」

「業種が自分に合うかどうかを感じることもあれば、企業毎の場合もある。説明する担当者の雰囲気や私との相性もあるよ」

「全部で何社くらいの話を聞いたの?」

「全体の半分くらいなかぁ。授業で出席できないこともあるから」

「どういう業界に興味が出てきた?」

「『身近なものを作っている会社』がいいと思っている。食品業界や繊維業界のように、日常生活に役立っているものを作っている会社に興味を持った。」

「金融関係はどうだ?」

「金融は、目に見えないものでよく分からない。自分が働いている姿が想像できない感じなの」