現在、参院では、秘密保護法改正案の可決に向けた政府・与党の強引な動きが大きな問題となっている。同時に、衆院では、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が衆院・厚生労働委員会で可決され、本会議での可決を待つ状況となっている。

今回は、衆院・厚生労働委員会で行われた約3時間の議論と、2013年8月1日から実施されている生活保護基準引き下げの根拠とされた生活扶助相当CPIの問題について紹介する。

衆院・厚労委員会で可決された
生活保護法改正案

 2013年12月4日午後、衆院・厚生労働委員会において、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案(以下、2法案)が、共産党を除く賛成多数により可決された。今国会の会期末である本日12月6日までに本会議で可決されれば、成立する。なお、今国会は延長されない方針となっている。2法案に関する今国会での議論は、参院8時間半、衆院3時間であった。

 本題に入る前に、今年に入ってからの生活保護法改正案をめぐる動きを整理しておこう。

2013 年1月
・生活保護基準部会、報告書を公開。
・生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会、終了し報告書を公開。
・厚生労働省、
資料「生活保護制度の見直しについて」を公開。
 ここで、最大10%に及ぶ生活保護基準「適正化」(ほぼ引き下げ)方針が示される。

2013年3月
・厚労省、社会・援護局関係主管課長会議を開催(資料)。稼動年齢層の生活保護当事者に対する就労支援を強化する方針が示される。

2013年5月
・生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が国会に提出される。
・国連・社会規約委員会より、日本政府に対し、生活保護制度を利用しやすくすることを中心とした勧告が行われる(http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-133.html)。
・衆院において、生活保護法改正案に関し、水際作戦を強化しないことを一応は目的とした修正決議が行われる。

2013年6月
・国会会期切れに伴い、2法案は廃案に。

2013年7月
・参院選。自民党が圧勝。

2013年10月
・生活保護基準部会、再開され、住宅扶助など生活扶助以外の扶助の見直しについて議論を開始。
・2法案が再度国会へ。早期成立を目指して参院先議とされる。

2013年11月
・2法案、参院で附帯決議つきの可決となる。審議は実質2日、合計8時間30分。

2013年12月
・12月4日 2法案と附帯決議、衆院・厚生労働委員会で可決される。

 12月4日に行われた、たった3時間の審議は、どのようなものであっただろうか?