田中角栄が行った列島改造計画。
その結果、何が起こった?

 高橋財政と田中の列島改造論は、財政出動という点で同じですが、高橋財政がデフレ下で行われたのに対し、田中角栄はインフレ時にこれを行った点が違います。結果、財政は悪化し、インフレを加速させてしまいました。糖尿病の患者が、大食い競争に参加したようなものです。

 田中角栄の失脚後も、後継者の竹下登や小沢一郎が公共事業を続けます。彼らの懐には、公共事業発注で潤った建設業界から莫大な献金が流れ込み、田中派(竹下派)は自民党内最大派閥となります。これに挑んだのが小泉純一郎です。

 米国でも、1960年代までケネディ・ジョンソンの民主党政権が公共投資を続けた結果、国民は豊かになった反面、政府は財政赤字に苦しみます。ヴェトナム戦争介入による軍事費増大と第1次石油危機による物価高騰も、財政赤字に追い打ちをかけました。

 このようなケインズ主義的な財政政策に対して激しい批判を開始したのは、シカゴ大学のミルトン=フリードマン教授を中心とする新自由主義者です。