ドラッカーを最初に読むなら
『365の金言』
ドラッカーを「恩師」と慕い、ドラッカーの後継者と見なされることもあるジム・コリンズ(『ビジョナリー・カンパニー』の著者としても知られる)が、本書の冒頭に「推薦のことば」を寄せています。
ドラッカーのすごさは、簡潔な文章をもって複雑な世界をずばりと切り裂き、真理を明らかにするところにある。禅師のごとく普遍の真理を数言をもって示す。読むたびにこちらの理解が深まっていく。本書『ドラッカー 365の金言』は、それら至言のいわば宝石箱である。読者は一万ページを読むことなく真髄を得ることができる。(Vページ)
著者のドラッカー自身も「はじめに」において、以下のように綴っています。
「あなたの本をどれから読んだらよいか」「人事について書いているのはどの本か」などとよく聞かれる。六五年間の著作を前にしては、私にも答えられない。
本書『ドラッカー 365の金言』は、そのような問いに答えるものである。マネジメント、事業、グローバル経済、社会、イノベーションと起業家精神、意思決定、働く人たち、NPO(非営利組織)とそのマネジメントについての私の考えを集めたものである。
しかし、本書で一番重要な部分は、各ページのACTION POINT の下のスペースであろう。そこは、読者自身の思考、決定、行動をメモしていただく場所である。なぜなら、本書は行動のための書だからである。(ⅶページ)
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「現代経営学研究の祖」「マネジメントの父」―-。誰もが認めるドラッカーは、とりわけ経営・経済の分野で偉大な功績を残しました。「マネジメント」をはじめ、「顧客創造」「経営戦略」「事業部制」「知識社会」「ナレッジワーカー」「NPO」「民営化」といった多様な概念を生み出し、未来を的確に予測しました。
ドラッカーの興味と関心は企業やビジネスの世界に留まらず、彼の思想と見解、そして先見性は哲学や歴史、政治、文学、美術など、広範な領域に深く浸透しています。29歳で初めて書いた『「経済人」の終わり』でナチスのユダヤ人虐殺と独ソの不可侵条約締結を予言。『会社という概念』や『現代の経営』では分権化(事業部制)や目標管理を提唱しました。数多ある著書のなかでも最高傑作の一つといわれる『断絶の時代』は、時のサッチャー英首相が1980年代に推し進めた民営化政策に大きな動機を与えたといわれ、また、『新しい現実』でソ連邦の崩壊を予告して世界的大反響を巻き起こしました。その後に著した『ポスト資本主義社会』では資本主義社会の後に知識社会が到来することを明らかにするなど、次々に話題作を発表し続けました。