ドラッカーの神髄を詰め込んだ
120本の名言

P・F・ドラッカー著、上田惇生編訳『決定版 ドラッカー名言集』2010年12月刊。日本語訳および原文の両方でドラッカーの名言が書かれているのが特徴です。

 これらの膨大な著作から名言・至言を抜き出し、120本を精選して編集された『決定版 ドラッカー名言集』にもドラッカーの真髄が詰まっています。こちらは「英和対訳」付きで、名言としての和文が原書ではどのように表現されているのか、両者をつき合わせながら、あるいは楽しみながら読み進めることができます。それにしても、当初、全著作から抜き出した約7000本の名言を120本に絞り込む作業は困難を極めたようです。「187本まで絞り込んだところで、行き詰った」と、編訳者の上田惇生氏が告白しています。

 はや40年に達するかというドラッカー研究の過程で知り合い、付き合いを深めさせていただいたドラッカー好きの方々のご意向を反映させることにした。187本の掲載候補をお示しして、ぜひ名言集に入れたいというものを選んでいただいた。伊藤雅俊さん、中村邦夫さん、柳井正さん、糸井重里さん、岩崎夏海さんはじめ大勢の方が、それぞれ収載すべき名言を教えてくださった。(「編訳者あとがき」)

 経営学者というより社会思想家に近く、ドラッカー本人は自身を「社会生態学者」と名乗っていました。ドラッカーの基本的な関心は、組織中心の産業社会のなかで人間が幸福になる方法を探すことでした。だからこそマネジメントを考察し、人はどう生きるべきかを追究したのです。ドラッカーを現代に甦らすことができたら、昨今のグローバルな政治経済動向や外交情勢から一定のコンセプトを導き出し、鋭い洞察力と先見性を駆使して本質を問い、私たちには決して見えない未来を可視化してくれるに違いありません。

 戦略上の意思決定において問うべき問題は、明日何をなすかではない。「不確実な明日のために今日何をなすべきか」である。(『決定版 ドラッカー名言集』)

 社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力をもつ。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が必要にして有用かつ生産的な仕事をしているとみなすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない。(同上)

 05年11月11日。あと1週間ほどで96歳の誕生日を迎えるというその日に、ドラッカーはカリフォルニア州クレアモントの自宅で息を引き取りました。本書はそれぞれ、05年(『365の金言』)、10年(『名言集』)に刊行されたものであり、遺された著作には、言うまでもなくなお数多くの金言・名言・至言があふれています。なおかつ、組織運営やマネジメントに関するノウハウなども満載されています。

 ドラッカーの洞察力と先見性にあやかり、一年の計を立ててみてはいかがでしょうか。


◇今回の書籍 37/100冊目
『ドラッカー 365の金言』

ドラッカーのすごさは、簡潔な文章をもって複雑な世界をずばりと切り裂き、真理を明らかにするところにある。禅師のごとく普通の真理を数言をもって示す。読むたびにこちらの理解が深まっていく。本書『ドラッカー 365の金言』は、それら至言のいわば宝石箱である。読者は一万ページを読むことなく真髄を得ることができる。……『ビジョナリー・カンパニー』著者ジム・コリンズによる本書「推薦のことば」より。

P・F・ドラッカー 著、ジョセフ・A・マチャレロ 編、上田惇生 訳

定価(税込)2,940円

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◇今回の書籍 38/100冊目
『決定版 ドラッカー名言集』

経営学の泰斗にして世界の企業人に多大な影響を与えたドラッカーが、後世に遺したエッセンスとは何か。経営、ビジネス・スキル、社会など幅広い分野で支持を集めているドラッカーの名言を、経営者、学者、知識人らのアンケート協力を得て120本に精選。初めての「英和対訳」として上梓する決定版。

P・F・ドラッカー 著、上田惇生 編訳

定価(税込)1,575円

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