ちきりん そこで考えたのが、だったら人生を2つに分ければいいんだってことなんです。がむしゃらに働く20年と、ほとんど働かない20年を組み合わせて40年にしたらいいと思いついたんです。そして、ほんとうに20年ちょいで会社をきっぱり辞めて、今は「楽しいことしかしない生活」を実践してます。
堀江 僕も、楽しいことだけにしたいと思っていますよ。
ちきりん ええ、わかります。でもたぶん、「楽しい」って2種類あるんですよ。ひとつは、たとえ忙しくても、何かワクワクできる成果に向けてハマってる状態が楽しいというタイプ。堀江さんはこっちだと思います。
堀江 そうですね。
ちきりん でも私には、仕事と同じくらい楽しいと思えることが他にもあるんです。それは、生産的なことを何もせずに、ビーチやらソファの上やら温泉やらでボーッとしてること(笑)。
堀江 僕は、無理ですね。ボーッとできないんですよ。楽しいとも思えません。
ちきりん そうですよね。よくわかります。私の場合は小さいころから、山崎豊子さんの社会派小説が大好きな一方で、『メアリー・ポピンズ』とか『モモ』『コロボックル』といったファンタジーものも大好きだったんですよ。そっちの世界に入ってるときって、もう一日中、空想してるんです。自分の部屋のベッドの下にコロボックルが住んでいて、こんな生活をしていて……とか(笑)。3日でも4日でも空想を続けられます。
堀江 えっ? コロボックル?
ちきりん ご存じないですか? 空想の世界の小人なんですけど。
堀江 いや、知らないですね。なんとなくはわかりますが……。
ちきりん 小さいころから、ビジネスや社会問題に関心のあるちきりんと、ファンタジーの中に生きるちきりんの2人がいて、私としてはその2つを両方とも楽しみたかった。だけど同時期に50%ずつのバランスでやっていくのは無理だとわかりました。仕事だって100%ハマらないと面白くないですしね。だったらいっそのこと、社会人としての40年間の生活を「20年・20年」に分割しようと考えたんです。
堀江 なるほど。大胆な発想ですね。
ちきりん ただ、「あたしはひとりで空想の世界に生きてるんだから、みんな放っておいて!」って言っても、結局いろんなところからお声がけされるので、そういうのを受けていると、また「仕事」に忙殺されてしまう……(苦笑)。
堀江 そうですよね。やることはいくらでもありますから。
ちきりん だから今は、そういうのも頑なに断っています。もう“ちきりん”なんかに声かけたくないよって思われるくらいに、あちこちにNOを言い続けて……、そこまでしてようやく、ひとりの世界を楽しめる(笑)。
堀江 それはそれで、希少価値が出ますよね。
ちきりん たしかに。あまり人前に出てこないんで、余計に声がかかるのかもしれませんね。いるはずなのに見えない。コロボックルみたいな存在というか(笑)。
堀江 そうそう、逆にすごいプレミア感があっていいですよ。まさに、希少価値マーケティング!
ちきりん 結果としてそうなってるのかも。
堀江 理想に近づけて、よかったですね(笑)。
ちきりん ありがたいことです!(笑)