軽規格の変更は不要
増税は「極めて深刻な事態」

 今回の記者会見は、商品説明やテレビCMの初披露などを含めて合計約46分間。そのうち約26分間が鈴木氏への質疑応答だった。

 そのなかで、気になったのが次の2件だ。

 ひとつは、自動車ジャーナリストの松下宏氏が「今回の増税と引き換えに、(高速走行など走行全般を考慮すると)燃費を向上させるために排気量を800ccへ、操縦安定性を高めるために全幅を広げるなど、新しい軽自動車の規格を提案していく考えはないか?」と聞いた。

 鈴木氏は「個人的な見解だが、『ありません』」と言い切った。その理由について、「ワゴンR」等の現行車に対して顧客から燃費や走りに十分満足しているという声が多いこと。安全性については、軽自動車の規定で排気量が660c化された際、正面衝突、側面衝突などの安全基準を小型乗用車と同等に引き上げおり、現状で安全性は十分確保できていると説明した。

 もうひとつは、質疑応答の最後、NHK記者が「政府が月例経済報告のなかで、4年2ヵ月ぶりにデフレという文言を外した。(そうした状況について)どのような実感を持っているか?」と聞いた。

 すると鈴木氏は「話を日本経済全体ではなく、軽自動車産業に絞る」と前置きしたうえで、「ご推察の通り、(2014年4月消費税8%、2015年4月軽自動車税〈四輪車の乗用と自家用〉が現行の1.5倍の1万800円、同年10月消費税10%の可能性等に鑑みて)極めて深刻な事態を迎えたと、現時点の見通しはそう思っている」と会見を締めくくった。

軽自動車に対する事実上の増税決定を受けて、「ハスラー」発表会直後、会長の囲み取材は、いつも以上の熱気を帯びていた Photo by Kenji Momota

 以上の会見中、さらには会見後の囲み取材で、鈴木氏の発言には「含むところ」が多々あった。それは、鈴木氏が「軽自動車はこれからどう歩むべきなのか?」と、自問自答しているかのように思えた。

 こうした社会実情を踏まえて本稿では、軽自動車ユーザーのひとりであり、また鈴木氏と同じく軽自動車は「日本の誇り」と認識している筆者が、これまで行ってきた各方面への取材を基に「軽自動車の将来」について検証してみたい。