”まず、1人が、自分がどっちをとっても文句がないと思うまで、じっくりと酒を2つに分ける。つぎに、もう1人が、その2つのうち、自分のほしいと思うほうを1つ選ぶ。そして残ったほうを、はじめの男がとれば、両方から文句の出るはずがない”

 です。これは実際の仕事でも応用できます。例です。

 商品やサービスの宣伝プランで、広告文の方向性について意見が割れたとしましょう。自分が推すAプランは、プロダクトの「高級感」をアピールするために「感動」路線の重々しい説明文だとします。これに対して上司が推すBプランは、プロダクトの「大衆性」をアピールするために「ギャグ」仕立ての軽い説明文だとします。

 会議でありがちな失敗は、一つの広告に両方入れ込んでしまうことです。お客さんにとっては、中途半端な印象を与える結果になります。私なら、こうしてみます。

 「高級感」を推すAプランと「大衆性」を推すBプランを時間差で世に出しましょう。そして、その「感動」と「ギャグ」のギャップを売りにしましょう。どちらから先に宣伝露出をするのかは、あなたがお選びください。
 こんな感じです。時間差で商品ポスターを2種類つくるもよし、最初はネットでスタートして、遅れてポスターを提示するもよし、相手の反応次第で、また次の「2つのワガママ選択肢」を練っていきます。

 いろいろな失敗を重ねて、この方法に落ち着きました。「妥協」は、後の修正を困難にさせるので、妥協を避ける診断も大事になっていきます。

 アイデアチェックに必要な要素のうち、いくつかを紹介しました。第3章の最後には、次ページのように、アイデア診断するためのチェックシートがあるので、活用してください。