「自分のために生きる」という言葉の意味

 私が今回『自分のために生きる勇気』という本でお伝えしたいことはひとつ、「自分の人生を主体的に生きる」ということ。つまり、それこそが「自分のために生きる」ということなのです。

 もしかしたら「誰だって主体的に生きているに決まっている」と思われるかもしれません。けれど私は、自分の人生を、責任をもって舵をとることは、とても難しいことだと思っています。忙しい日々の中、目の前にあることをこなすだけではなく、しっかりと主体的に生きている、と言える人はどれくらいいるでしょうか。

「こう言ったらこう思われる」と人の評価や顔色をうかがい、SNSではリアクションを期待し、「こう思われたい」自分を演じる。このような毎日の積み重ねでは、「自分のために生きる」ことができなくなってしまいます。

 やりたいことが見つからず目の前が真っ暗だった暗黒時代を経て起業し、売上のたたない半年の絶望的な時間を経験し、それでもなんとかもがきながらも一歩ずつ泥の中を進むうちに、「自分のために生きる勇気」を持つためには、「あること」が必要なことがわかってきました。

――それは、「心は鍛えられる」ということです。
「心なんて鍛えられるの? 性格じゃないの?」
 そう思われるかもしれません。

 けれども、私の答えは「誰でも、何歳からでもできる」、です。そしてそれによって、お金がなくても、実績がなくても、自信がなくても、自分の頭と足、そして鍛えた心があれば、次第に、仕事もプライベートも関係なく、主体性をもって生きていけるようになります。

 私が経営者だから、ではなく、「誰しもが自分の人生の経営者」なのです。この連載では、本に記した私の考え方、経験などを少しだけお伝えしていきたいと思っています。