説明しているうちに、5分間があっという間に過ぎ去った。やがてソフトで呼んだタクシーがやってきた。タクシーに乗り込むと、私は猛烈な取材を始めた。タクシー席の左側の窓に携帯電話が固定されている。そこから頻(しき)りにタクシーを呼ぶお客さんの注文が音声と文字を通して入ってくる。

 行き先などが自分の気に入ったときは、すかさずにその注文をもらうという意味のキーを押す。これでソフトが自動的にお客さん側に、タクシーの位置がいまどこなのか、何分ぐらいで到着するといった情報を更新しながら伝える。地図ソフトが活用されている技術だとすぐに悟った。

アプリのメリットとデメリット

 タクシードライバー歴14年のベテランだった運転手さんは、熱心に私の質問に答えてくれた。その説明を受けてわかった事実は次の通りだ。

 まず、タクシーを呼ぶソフトを使ってタクシーが利用されると、お客さん側は5元の応援金をもらえるが、タクシー運転手の方はなんと9元ももらっている。「最初はお客さんも応援金をもっともらえていたのに、だんだん金額が下がってきた」そうだ。

 タクシー運転手にとってのメリットは、自分が行きたいところへ行こうとするお客さんを選び出すことができる。「普段、私は主に浦東を走っているが、今日、先ほどのお客さんを送るために、市の西の端に来た。どう帰ろうかと思っていたところ、浦東に行くあなたの注文が入ってくるのを見て、すかさずにキーを押したよ」という。

 タクシーを呼ぶソフトのお陰で、毎日の売り上げが100元ほどあがった。「ソフトを使ってタクシーを呼んだお客さんが全顧客の三分の一か四分の一くらいで、たぶんこれからもうすこし増えるだろうと思う」

 しかし、そのデメリットは、という私の質問に、運転手さんがしばらく沈黙したのち、「そのソフトを使えないお客さんにとっては、逆にタクシーを拾いにくくなっている」と素直に認めた。