「ロシア」VS「アメリカ・EU」。
代理戦争が始まる
ソ連崩壊に乗じて、ウクライナは3度目の独立を達成します。しかし独立後も、ソ連時代の指導部と共産党の官僚組織、非効率な国営企業が温存されたため経済は低迷しました。
そこで、EU(欧州連合)加盟を目指す親西欧派の人たちが西部で台頭し、2007年のオレンジ革命で親ロシア派の政権を倒します。米国の投資家ジョージ=ソロスが莫大な資金援助を行い、「革命」を演出しました。東部のロシア系住民は猛反発し、ロシアのプーチン政権はウクライナ向けの天然ガス供給を削減するなど圧力をかけたのです。
ギリシアとウクライナは、地政学的条件がよく似ています。ともにロシアが黒海から地中海へ出ようとする通り道なのです。ここに親欧米政権を樹立してロシアを封じ込めるため、欧米諸国はギリシアへの莫大な経済援助を続けてきました。
しかしEU加盟には「財政赤字が対GDP比3%以下」という条件があります。ギリシアの場合、この数字の粉飾が露見してユーロが暴落しました。ウクライナの財政は、対GDP比4%台の赤字。これを3%以下に抑えようとすれば、公務員数の削減、公共料金値上げなど、ウクライナ国民が痛みに耐えなければなりません。