資料作成のセンスは、
「感性」ではなく「ロジック」

 資料作成はインプットから始まってプロセスに移り、アウトプットで終わる3つの手順で行われますが、それぞれにおいて「センスがない」状態はどうなっているのでしょうか。

 インプットでは、必要な証拠が十分にそろっていない、何か足りないという状態が「センスがない」状態です。プロセスでは、集めた証拠の分析や整理が不十分で、なぜそういうことが言えるのか、という保証を十分に示せていない状態。そしてアウトプットについては、できあがった資料全体のバランスがとれていない状態でしょう。

 言い換えれば、ちぐはぐなアウトプットになっているということです。したがってセンスのないビジネス資料は、インプット、プロセス、アウトプットのいずれかにこうした問題がある、もしくは3つのステップすべてに問題がある資料だと言えます。

 では反対に、センスがある資料とはどういうものか、インプット、プロセス、アウトプットの観点で考えてみましょう。

 インプットでは、主張を語るのに十分な証拠がそろっている状態です。それも、ウェブ上で誰もが手に入れられるような情報ではなく、簡単には手に入らない情報、しかも鮮度の高い情報が示されている。たとえば、顧客の現場に出向き、そこで働くスタッフの声を集めたり、経営者の問題意識を聞き出したりすることから得られた情報は、証拠としてとても意味のあるものになります。

 プロセスについてはどうでしょうか。肝要なのは、資料がロジックに従ってきちんと組み立てられていることです。証拠と主張と保証が明確であり、保証に関して「なぜなら~だからだ」という根拠が語られていれば、センスのある資料と言えます。

 そしてアウトプットでは、全体としてのまとまりがあって、資料を見る相手が求めている内容であること。そして全体の筋が通っているものがセンスのある資料です。

 このように、ビジネスの資料作成におけるセンスは、美的感性のように捉えにくいものではなく、ロジックの確かさと組み合わせ方に表れるものなのです。

 したがって、センスのある資料を作成するためには、インプット、プロセス、アウトプットという資料作成の3つのステップに論理的に取り組むことが何よりも重要になります。


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