【鉄が世界を変えた】バビロンを滅ぼした“謎の帝国”の正体
「地図を読み解き、歴史を深読みしよう」
人類の歴史は、交易、外交、戦争などの交流を重ねるうちに紡がれてきました。しかし、その移動や交流を、文字だけでイメージするのは困難です。地図を活用すれば、文字や年表だけでは捉えにくい歴史の背景や構造が鮮明に浮かび上がります。
本連載は、政治、経済、貿易、宗教、戦争など、多岐にわたる人類の営みを、地図や図解を用いて解説するものです。地図で世界史を学び直すことで、経済ニュースや国際情勢の理解が深まり、現代社会を読み解く基礎教養も身につきます。著者は代々木ゼミナールの世界史講師の伊藤敏氏。黒板にフリーハンドで描かれる正確無比な地図に魅了される受験生も多い。近刊『地図で学ぶ 世界史「再入門」』の著者でもある。

【鉄が世界を変えた】バビロンを滅ぼした“謎の帝国”の正体Photo: Adobe Stock

古代オリエントを地図で読み解く

 史上最初に官僚制を整備した、すなわち世界初の領域国家と見なされているのが、アッカド王国です(前24世紀~前22世紀)。アッカドの建国者であるサルゴン1世はシュメール人の都市国家群を征服し、各地の都市国家の王は残されたものの、その役割は現在の知事と同様に見なされました。

 アッカド王国のメソポタミア支配は200年ほどでしたが、これを模範とした領域国家が、オリエント各地に割拠するのです。

前15世紀―オリエントに大国がひしめきあう時代

 アッカド王国が崩壊すると、しばしの混乱期を挟んで再び領域国家が登場します。これが先述のバビロン第1王朝(古バビロニア王国)です(前19世紀~前16世紀)。この王朝は、前18世紀前半のハンムラビ王の治世に最盛期を迎え、彼は同害復讐法の原則(「目には目を歯には歯を」)を採用したハンムラビ法典の制定でよく知られます。

「謎の帝国」の正体は?

 一方で、バビロン第1王朝の衰退期に台頭し始めたのが、アナトリアに建国されたヒッタイト王国です。下図(図8)を見てください。

【鉄が世界を変えた】バビロンを滅ぼした“謎の帝国”の正体出典:『地図で学ぶ 世界史「再入門」』

 アナトリア中部の都市国家をまとめ上げたヒッタイトは、軍事強国として発展し、前16世紀初頭にはバビロンに遠征してバビロン第1王朝を壊滅に追い込みます。また、ヒッタイトは記録上最古の鉄器文明であり、軍事強国としての興隆に弾みをつけることになります。

(本原稿は『地図で学ぶ 世界史「再入門」』を一部抜粋・編集したものです)