―アメリカの消費者は、トヨタ車を買うことを躊躇するようになるだろうか。

 こう答えよう。1960年代、70年代に、アメリカの国産自動車産業は(顧客離れという)深刻な事態に陥った。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが技術的な欠陥車を出しながら、それを認めず、ドライバーの非難に終始したためだ。そのような姿勢がアメリカの車のブランドを殺し、トヨタなどの日本車に入り込む隙を与えたと私は考えている。

 トヨタも、同じ道を辿らないとは限らない。今やアメリカの車の質は向上した。また、韓国の車の質も向上した。質という面でも、トヨタ車に代わる消費者の選択肢は多数存在するわけだ。今回のリコール問題でトヨタに不信感を抱いた消費者が、他のメーカーの車に率先して乗り換えていったとしてもまったく不思議ではない。

―もう、そうした動きは出ているのか。

 まだだ。市場は混乱していて、トヨタ車のオーナーたちはとにかく修理が早く終わることを求めている。重要なターニングポイントは、4~5月頃ではないか。おそらくトヨタはその頃に、ディスカウントを行うなどの大々的なキャンペーンに打って出なければならない事態に追い込まれるだろう。さもなければ、販売を再び活気づけることはできないのではないか。

―今後起こりうる最悪のシナリオは?

 リコール対象車で修理後に再び問題が浮上することだ。そのようなことがあれば、トヨタにとって回復しがたい打撃となるだろう。現在すでに電気系統に問題があるのではないかという声があるが、それも含め、まだ第三の問題が潜んでいたということになれば、消費者は他社の車に殺到する。ただ、仮にそうした事態が起こらず、人びとが自然とこの問題を忘れていったとしても、トヨタは今後のためになぜこれほど対応が遅れたか問題の本質を見つめ直す必要がある。

―トヨタに対する集団訴訟は頻発するのか。

 アメリカでは集団訴訟は避けられない。すでに動き回っている弁護士はたくさんいるだろう。大半のケースは裁判に至らないだろうが、いくつかは裁判所に持ち込まれる。裁判の過程で、トヨタが何をして何をしなかったかがきっと明らかになるはずだ。

(聞き手/ジャーナリスト、瀧口範子)