「運べない」「値上げ」
は長く続く構造的問題

「3月末の混乱を繰り返すのか」。今、宅配業界と小売業界の関係者が心配しているのが中元商戦だ。

 中元の到着は、7月1日近辺に集中している。その上、冷蔵品が含まれていることも多い。これがくせもので、実は、宅配業者を困らせるのは、大きい荷物と冷蔵・冷凍の荷物だ。大きいものは場所を取るし、冷蔵・冷凍には特別の設備が必要になるからだ。

 振り返れば、13年の夏、ヤマトがクール便を、ずさんに取り扱っていたことが発覚。自社の拠点で冷蔵庫に入り切らずに、常温で仕分けされるケースが頻発していたのだ。

 ある食品会社では、冷凍菓子の試作品を遠方から本社に取り寄せようとしたところ、3回依頼して3回とも「届いた時点でドロドロだった」(関係者)という。騒動で反省したヤマトは大幅に体制を見直し、この夏を迎える。

 ちなみに、ヤマトの肩を持つわけではないが、ヤマトは利用者への調査では、宅配業者の中で最も高い品質という評価が定番となっている。そのヤマトでさえ、クール便の需要増には耐え切れなかったのだ。

 混乱を未然に防ぐため、今年は、中元を多く扱う百貨店などに対して、宅配業界が配達日の分散を要請している。ところが、強かな大手宅配業者はそれと同じタイミングで「値上げを要求している」(大手百貨店関係者)のだ。

 宅配業者は寡占状態で、大手が値上げを要求してくれば他の選択肢はほぼゼロだ。別の大手百貨店では「やむなく大型の保冷便については値上げを了承した。あるサイズでは送料が一気に3倍に跳ね上がった」という。今年は百貨店側が負担し、消費者に転嫁しないというが、今後は分からない。

 宅配業界は、長年、赤字覚悟のダンピング営業を続けてきた。需給逼迫に合わせてそれを一気に是正しようと、中元商品以外でも全国で値上げ交渉が行われている。