岸見 世の中には、料理が得意なパートナーさんだっています。世間的な役割分担と違ってもいいじゃないですか。世間が求める女性像に合わせる必要なんてありません。前編でも「人に合わせてしまう」と悩まれていましたが、根本は同じ発想ですよね。

鼎談は終始なごやかな雰囲気で行われた。

小林 そうですね。実は『嫌われる勇気』『ゼロ』を読んだ後に、フジテレビの「バイキング」からアナウンサーとしての進行役割ではなく出演者の一人として声をかけていただき、不安だったのですが「勇気を出してありのままの自分を出してみよう」という思いで挑戦したんです。そうしたら、思いのほか嫌われてしまって。私、ある雑誌の調査で「嫌いな女子アナ」の1位に輝いてしまったんです。やっぱり、すごくショックでしたね。

岸見 「自分にはあんな生き方はできないのに、あの人はやっている」と感じたときに、そのことを妬む人や羨ましいと思う人がいます。その表現として「嫌い」という感情を作り出しているのです。だから小林さんが気にすることなんてありません。

小林 先生、どうしてもそうは思えないんですよ。私の言動が相手をイライラさせてしまっているのではないかと思ってしまうんです。

岸見 でも、小林さんだって嫌な思いをしているわけですよね。嫌われている人が、嫌ってくる人に対してなぜそんなに気を使うのか、僕にはさっぱりわかりません。

小林 自分がイライラさせてしまう言動をしているから……。

岸見 すべての人がそうというわけではありませんよね。小林さんのことを好きな人もいる。その人のことだけを考えて生きていけばいいのですよ。

小林 それで、いいんですか?

岸見 もちろんです。勝手に嫌わせておけばいいのですよ。だって、それはこちらが決められることではない。決められないことについて、悩む必要はありません。