35万部のベストセラー『嫌われる勇気』は、自己啓発の源流とも称されるアドラーの思想を日本中に広め、“アドラーブーム”を巻き起こしています。そんな同著に大きな影響を受けたのが、雑誌の「嫌いな女子アナランキング」で1位を獲得してしまったフリーアナウンサーの小林麻耶さん。著者である岸見氏、古賀氏との鼎談後編は、自己受容や承認欲求の問題、そして小林さんの内面に潜むコンプレックスにまで迫っていきます。『嫌われる勇気』で哲人と青年が繰り広げる対話さながらに盛り上がった3人の白熱トークをお楽しみください。(構成:宮崎智之、写真:田口沙織)

ありのままの自分を
さらけ出した結果は?

小林麻耶(こばやし・まや)
フリーアナウンサー、キャスター。1979年新潟県小千谷市生まれ。青山学院大学文学部英米文学学科卒業後、2003年TBSに入社。「チューボーですよ!」「世界・ふしぎ発見!」「王様のブランチ」など数多くの人気番組で活躍。2009年3月にフリーとなった後も「総力報道!THE NEWS」「がっちりアカデミー」「小林麻耶の本に会いたい」など、ニュース、バラエティとマルチに活躍している。現在は「バイキング」「ポップメイカー」などに出演中。オフィシャルブログ「まや★日記」

小林麻耶(以下、小林) 自己肯定という言葉について、ここ3年くらいずっと考えてきました。でも、自己を肯定することがどうしてもできなくて。どうすれば、ありのままの自分でいいと思えるんだろうと悩んでいました。そんなとき『嫌われる勇気』を読んで、「そうか。自己肯定ではなく、自己受容なんだ」とすごく腑に落ちたんです。

古賀史健(以下、古賀) 自己肯定というと、無理して自分を好きになるみたいな、洗脳している感じもあるんですけど、それはちょっと違うと僕も思っていて。岸見先生とこの本を作るために2年間くらい京都に先生を訪ねてお話しするなかで、自己受容という言葉を教えていただき、小林さんと同じくハッとしました。二つは全然違うものですよね。

小林 具体的にはどう違うと認識されていますか。

古賀 自己肯定というのは、結局、嘘があるというか、嫌いなものを無理矢理好きになろうとしている態度な気がします。一方、自己受容というのは、仮に自分自身を60点だと思っていたとしても、それを受け入れてスタート地点にする態度だと思いました。自己肯定は好きになることが目的になり、ゴール地点を探してしまっている。

岸見一郎(以下、岸見) アドラーは「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」と言っています。

小林 60点の自分でも好きになるということですよね……。最近、「バイキング」というテレビ番組の企画で花嫁修行をさせていただいているんですが、私は「結婚ができない女性」という状況だと認識されています。

古賀 どういう状況なんでしょうか(笑)

小林 料理も苦手ですし、いわゆる一般的な花嫁さんのイメージからはかなり離れてしまっているというわけです。「34歳の女性ならばこれができて当たり前」ということが私にはできないんですよ。でも、古賀さんも制作に関わられた堀江貴文さんの『ゼロ』のなかで、堀江さんがすごく自分の弱みを見せていました。それまで、人前で弱みを見せるのはいけないことだと思っていたんですけど、『ゼロ』を読んで悪いことではないんだなと思うようになりました。