2009年の見通し

 2009年の日経平均は、「前半高・後半安」を想定している。相場レンジは6000円~10000円となるだろう。

 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は、昨年11月以降、急激に経済指標が悪化している。たとえば、在庫循環を示す「出荷在庫モメンタム」(鉱工業生産の出荷指数の前年比から在庫指数の前年比を引いたもの)の6ヵ月移動平均は、8月にマイナスに転じた後、マイナス幅が拡大している。

 1978年以降のデータを分析すると、マイナス期間の平均は13.7ヵ月、最大は1991年~1993年の24ヵ月である。今回は世界的な景気後退が背景となっているため、日本も24ヵ月よりも長い景気後退となる可能性が高い。

 2008年8月から24ヵ月後は2010年7月。過去の経験則では、このマイナス期間内でも日経平均の上昇は観測されているが、最大のマイナス幅を記録した1991年の事例では、この期間内に日経平均は最大で31.7%下落している。2009年中は、基本的に弱気相場を免れないと判断している。

 テクニカル面から分析すると、昨年11月末時点で、過去3ヵ月の騰落率がマイナス33.5%となった。この数値がマイナス20%を越えるときは、その後3ヵ月はリバウンドする確率が高いものの、期間が長くなるにつれ下落する確率が高まっている。

 3ヵ月の騰落率がマイナス20%を越えた事例は、1949年以降のTOPIX(東証株価指数)データを分析すると、わずか6回しかない。これだけ大きな下落となる場合は、深刻な景気後退や世界的な事件が背景にあることが多く、短期リバウンドを狙う以外はリスクが大きい。

 以上のファンダメンタルズ・テクニカル分析から判断すると、今年1月から2ヵ月程度が反発を狙える時期となるだろう。2009年2~3月へ向けて日経平均1万円程度の上昇が見込まれるが、その後は2010年3月期の業績を織り込む展開となるだろう。

 現在の為替レベルとファンダメンタルズの状況からすると、2010年3月期も企業業績は10%程度の減益となる可能性が高い。昨年安値である6994円の10%程度下である6000円が、下値候補である。

 業種の流れは、昨年完全に逆転している。2003年~2007年の過程では、新興国を中心とした世界経済の好調と円安により、鉄鋼、非鉄、輸送用機器、電機、商社、海運の上昇率が日経平均を大きく上回っていたが、2008年は逆に日経平均よりも下落率は大きい。

 この流れは、2009年も続くだろう。有望業種としては、食品、紙パルプ、電力、ガス、陸運、情報通信、小売、医薬品に注目している。