英国で住宅価格が上昇している。2013年の1年間で、住宅価格は10%以上の値上がりを見せた。また、2013年の住宅平均価格は約18万ポンド(約3000万円、1ポンド=約170円)となり、2008年1月以来の最高水準となった。住宅供給も増えている。新築住宅の供給戸数は約11万7000戸と、前年比16%増となった。
高齢化や核家族化など、英国もまた日本と同じような社会環境にあり、地元居住者による住宅購入の潜在需要も限定的だ。にもかかわらず、ロンドンでは100万ポンド(約1.7億円)以上をつける住宅価格も珍しくなくなった。
背景には中央銀行であるイングランド銀行(BOE)の金融機関向けの融資促進策(FLS)や、住宅ローン優遇政策などの政府支援策がある。昨今の住宅市場の活況は、これらの政策が奏功したともいえる。
しかしその一方で、住宅バブルを懸念する声も高まっている。BOEも「英国の住宅価格の急騰は、英国経済最大のリスク」と懸念し、その対策を急いでいる。
英国の大手不動産サービス会社のサヴィルズは「ロンドン中心部に建設される新築の高額物件は、その購入はほとんどが海外からの資金によるもの」と分析する。しかも、海外の資金の半分が、中国大陸からの流入だという。
2012年のオリンピックを契機に都市再開発が進行したロンドンでは、新築物件の供給も進み、これを魅力と見た中国を中心とするアジアからの資金が流れ込んでいるようだ。
建設省OBで、ケンブリッジ大学で研究活動を行ってきた長谷川徳之輔氏は次のように語っている。
「住宅価格を高騰させているのは、中国の成長の鈍化とともにリスクヘッジした資金がロンドンに流れ込んでいるためだと言えます」。