「目の上をカットした第2ラウンドのバッティングですが、まずあれについて聞かせてください」
「あいつは1ラウンドに頭突きを食らわせてきて、2ラウンドにまたぶつけた。頭突きを食うなり、俺はあいつを見た。あいつはホールドして俺を見た。俺があいつを見ると、あいつはまたやり始めた。また頭をぶつけようとした。誰もあいつに警告せず、誰もあいつを減点しなかった。どうすりゃいい? これは俺の仕事だ。あのまま頭突きを食らい続けるわけにはいかない。養わなくちゃならない子どもたちがいるのに、あいつは頭突きをやめず、裂傷を負わせて試合をストップさせようとした。やり返すしかないだろう」
「あなたはあそこですぐ動きを止めて、ミルズ・レーンのほうを向いて、何か言いました。それに対しミルズは何もしませんでしたが、あのときミルズに何を言ったんですか?」
「よく覚えてないが、頭突きだと言った。頭をぶつけられていると訴えたんだ。いいか、ホリフィールドはみんなが言うようなタフな戦士じゃない。耳をちょっと噛まれただけで尻尾を巻きやがった。俺は片目をやられたが、あいつは戦闘能力を奪われていない。耳はある。片目をやられても、まだこっちには片方あった。こっちは戦うつもりでいた。あいつは戦いたくなかった。俺は今からだって戦える」
「試合を止めたのはミルズ・レーンで、ホリフィールドではありませんでした」と、ジムは言った。
「いいや、あいつはもう戦いたくなかったんだ」
「ミルズは自分が試合を止めたと言いました。あなたはホリフィールドに噛みついた。目をやられた報復だったんですか、耳に噛みついたのは?」
「俺が何をしたかは関係ない。あいつは2度の試合で2度とも俺に頭突きを食らわせ続けたんだ」
「しかし、それなら抗議しないと……」
「抗議した! リングで抗議した!」
「なぜ最後まで抗議しなかったんですか、マイク? つまり、それが適切な対応だったのでは?」
いらいらしてきた。
「見ろ、俺を見ろ、これを見ろ、この顔を見ろ!」と、俺は叫んだ。「家に帰らなくちゃいけないのに。子どもたちは俺を見て怖がるだろう。この顔を見ろ、ちきしょう!」