流儀4 自分の役割を明確に意識する

 グループにとって最悪なファシリテーターは、スキルや知識、経験の浅い人ではありません。自分の役割を忘れ、支援するという本来の目的を見失い、その場しのぎの対応をしてしまう人こそが、グループに混乱や崩壊を招くのです。

 プレッシャーに押しつぶされそうになったり、自分のこだわりやプライドに負けそうになっても、自分の本当の役割を意識し、ブレずにいることができれば、賢明な選択できるようになります。どんな時も方向性を見失わないでいるためには、羅針盤が必要です。

自分が果たすべき役割は何だろう
誰のために、ここにいるのか
自分がすべきこと、すべきでないことは何か

 このような問いかけは、自分の志を明確にし、羅針盤を作るうえで役に立ちます。

流儀5 意外性を楽しむ

 想定外の出来事をストレスに感じるファシリテーターは少なくありません。会議で突発的なことが起きて慌てたり、頭が真っ白になったり……。事前に計画したプログラムが予定どおりに進まずにイライラしたり……。

 しかし、現実を無視して強引に進めても、事態はよくなるはずがありません。想定外の出来事に抵抗するのをやめて好奇心を持って受け容れると、そこから新しいものが生まれることが多いものです。意外性を楽しめるようになると、新しいチャンスを得ることができるのだ、ということに気づくことができます。

コントロールしようとする欲求を手放し、遊び心を持って想定外に向き合ってみましょう

流儀6 共感力を養う

 他人を思いやり共感力をもって向き合うことは、ファシリテーターの基本スタンスです。この流儀のポイントは2つ。

 1つ目は、まず他人を思いやる前に、自分を思いやる心を養うこと

 炎上する会議では、ファシリテーターもまたその影響を受け、心を閉ざして自己防衛的になるものです。自分の弱さを認めて受け容れると、自分に優しく、そして他人にも思いやりを持って接することができるようになります。

 2つ目は、どんな人も無条件に尊重に値する人として受け容れる姿勢を持つこと

 問題行動を起こす人や悪影響があると思う人を受け容れるとは、同意したり、容認することではありません。ただ丁寧に対応し、決して軽蔑や批判の目を向けたり、馬鹿にした態度をとらないということです。

 どんな場面でも、たった一人、共感力の高い人がいれば状況は変わります。自分の弱みをさらけ出す勇気と、他人を尊重する気持ちが変化をもたらすのです。

 いかがでしょうか。日々のちょっとしたトレーニングで手に入れることができるのが、これらの流儀の特徴です。第3回目は「炎の達人」として6つの流儀を身につけるためのトレーニング法を紹介します。
 


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ただファシリテーションの手法を知っているだけでは十分ではない。国際会議、企業間の交渉など修羅場を何度となく切り抜けてきた、アメリカを代表するファシリテーションの達人が、ファシリテーターにとっていちばん大事なマインドとその鍛え方を具体的に解き明かす。


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8月29日(金)18:30~21:00 於:浜松町TKPビジネスセンター


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8月31日(日)10:00-17:30 於:慶応丸の内シティキャンパス