一方、きわめてラッキーな一握りの学生にも、不安や迷いが生じることがあります。心の底から熱望した会社であろうと、当然のことながら実際にそこで働いた経験はないのですから、どんな人が働く会社か、そこで自分が何をすることになるのかはわかりません。そのことが不安に結びつくのです。これも、入社後のミスマッチ感の萌芽になる可能性があります。ですから、その気持ちも、できることならケアする必要があるでしょう。

 このように考えれば、志望度とは関わりなく、内定者フォローは遍く必要である、と言えるかもしれません。

 ミスマッチ感をゼロにする、解消することはできません。でも、「この会社で頑張ってみよう」と思わせることはできるはずです。

 入社3年以内に会社を辞めてしまう早期離職の問題も、その背景には、なかなかミスマッチ感が軽減されない、言い換えれば「自分の気持ち・仕事・職場メンバーと折り合いが付けられない」ということがありそうです。

 内定者フォロー=内定辞退の防止、としてしまうと、なにやら後ろ向きな印象がありますが、そのことはとりもなおさず「早期戦力化」の第一歩であり、そのためにも「この会社でがんばってみよう」という前向きな意識にさせることが大前提なのではないでしょうか。

内定期間は縛られたくはないが
放置されると不安になる

 内定者フォローの現状は、「入社前教育」という位置づけで取り組む企業が増えてきているようです。

 ただし、何をどこまでやるか、については、企業の考え方によってさまざまです。