以前、ある進学校の先生が、こんな言葉を言っていた。

「就活に強い大学はないが、就活に強い学生は必ずいる――」

 その言葉を聞いて、なるほど、と思った。就活はいわゆる個人戦であって、団体戦ではない。どんなに大学が就活に力を入れていても、面接会場にいけば、大学名は学歴を判断するためのシグナルのひとつでしかない。戦うのはあくまで学生個人なのである。

 そう考えると、“就活に強い子”とはいったい何なのか? 

 その疑問を解決するべく、少し残酷なテーマで調査を行ってみることにした。『内定を3つ以上獲得した100名』と『内定0個だった100名』に対して、アンケートを実施したのである。つまり、この2種類の人材に対して、就活の能力に何か大きな違いがあるのかどうかを調査したのだ。

 このアンケート調査を元に『8歳からの内定獲得術』(日本経済新聞出版社)という本を出版させてもらった。そして、この本の中に掲載したアンケート調査の結果から、子どもの就活で親がやって「良いこと」「悪いこと」について、考察してみることにした。

「留学=就活に有利」は本当か?
英語検定資格と変わらない“武器”力

 まず、アンケートで私が最も興味深かったのは、語学力に関する調査結果だった。

「あなたの語学力はどのくらいですか?」という質問を、英検準2級、TOEIC600点以上という規定を設けて行ったところ、案の定、語学力と就活には密接な関係性があることが分かった。

 TOEICや英検で、ある一定の基準値を超えている人は、内定3では過半数以上を占めており、反対に、内定0の人の約8割近くは、その基準値を超えておらず、就活に苦戦していることが判明した。

 次に調査したのは、「留学経験」の有無である。

 内定3では留学経験ありが36%なのに対して、内定0の留学経験は16%だった。留学経験が内定獲得に及ぼす効果は大きいようだ。