また、鮪は大きいため、菰《こも》にくるんで大八車で運ばれてくるので、まるで死体が運ばれてくるよう。

 さらに古事記や万葉集によると、鮪は「しび」と呼ばれており、この語感が「死日《しび》」、もしくは「死人《しびと》」につながる……と、この上なくイメージの悪い魚だったのです。

 江戸初期に書かれた『慶長見聞集《けいちょうけんぶんしゅう》』という随筆にも、「しびと呼ぶ声の響、死日と聞えて不吉なり」と記されています。

 

江戸時代は猫またぎの一種だった鮪《まぐろ》 <br />価値が認められたのはヅケが発明されてから 鮪の佃煮
【材料】鮪…100g/実山椒の佃煮…大さじ1/おろし生姜…1かけ/酒…大さじ3/みりん…大さじ2/醤油…大さじ2
【作り方】①鮪は5mm幅に切る。②鍋に酒、みりん、醤油を入れて中火で煮立たせ、1と実山椒の佃煮、おろし生姜を加えて弱火にし、鮪を崩しながら煮汁がなくなるまで煮る。

 それだけに鮪は価格が安く、倹約おかずとして、度々活躍していたようです。

 『まぐろ売り 安いものさと ナタを出し』という川柳が残っているぐらいで、江戸後期に発布された節約おかず番付、『日々徳用倹約料理角力取組《ひびとうようけんやくりょうりすもうとりくみ》』の魚方に、鮪料理はいくつもランクインしています。