経営者としてやることは3つだけ
川上:星野さんは自著『星野リゾートの教科書』で、様々な経営学者の経営理論を“教科書通り”に実践していると述べていますよね。
星野:はい。この10年は、経営学のバイブルと言われる『競争の戦略』を書いた米国の経営学者マイケル・E・ポーターの理論を実践しています。彼は、「競争から抜け出す戦略が必要だ」と述べていますが、これを星野リゾートに置き換えると「マネされにくい独自の姿を確立すること」になります。
その独自の姿を確立するために実践しているのが、ポーターの言う3つのステップです。
1 生産性のフロンティアを達成する
2 トレードオフを伴う
3 活動間にフィット感を生み出す
僕はいつも新入社員にこう言います。「両親に、『星野リゾートってどんな会社なんだ?』って聞かれたら、この3つをまずは言え」って。
毎冬に行う会社の全体研修でも、1時間半かけてこの戦略について話をします。落語家のように毎年同じ話を繰り返し伝える(笑)。
それほど重視しています。逆に言うと、経営者としてやることは、この3つだけです。