「環境って、何のことだ?頭、大丈夫か?」
「そもそも環境がビジネスになるのか?」
「きみの言うことは、全く理解出来ない」
何とも刺激的な言葉ですが、これらはすべて、2005年の夏に私が三井住友銀行(旧住友銀行)を退職する意思を伝えた時の周囲の反応です。『温暖化』『地球にやさしい』『エコ○○』といったキーワードが、生活のあらゆる場面で目に入ってくる現在であれば、環境の話をして「頭、大丈夫か?」とか、「言うことが理解出来ない」と言われることはないでしょう。わずか3年で世の中も随分と変わったものです。
とはいえ、安定した収入を得ている銀行員が「転職して環境ビジネスに取り組む」といって、どれくらいの人がそれをフツーのこととして受け入れてくれるでしょうか。そこには大きな問いが横たわっているのです。
『環境』って本当に
ビジネスになるの?
『環境』は本当にビジネスになるのか――。皆さんは、この問いに対してどう答えますか?
実は、『環境』と『ビジネス』の関係については、何となくわかった気にはなっていますが、本質的な理解の部分は、3年前と大きくは変わっていないのではないでしょうか。
少し例をあげながら考えてみましょう。
「エコマークのついている商品と、ついていない商品のどちらを買いますか?」
こう聞かれると、多くの人は反射的に、「エコマークのついている商品を買う」と答えると思います(少し誘導尋問っぽいですしね)。
では、少し条件を変えてみましょう。
「エコマークはついていて値段が高い商品と、エコマークはついていない値段が安い商品のどちらを買いますか?」
今度は、少し考えてしまいますね。仮にここで答えられたとしても、商品によって、自分の懐具合によって、あるいは気分によって、その答えは変わっていくことでしょう。私たちの『エコ』に対しての価値観がいかに“揺らぎ”を含んだものであるかがわかります。