漁獲量日本一なのに誰も知らない <br />青森の秘境・小川原湖の「しらうお」に春が来た!

 しらうお漁の船は7時ごろ出船する。目指す漁場に到着するとしらうおを傷つけないように目の細かい特殊な網や、道具を使って船曳漁を行う。5、6人ほどのチームで円形に網をまいて、掛け声をあげながら両端を引き寄せる。約40キロを持ち上げ、昼までに、1度の漁でこの作業を4回ほど繰り返す。水温が下がると、しらうおは深く潜る習性があるため、とくに冬の漁は重労働だ。

 網で引き揚げられたばかりのしらうおは、透明の身体が太陽の光を浴びて虹色に光り、とても美しい。しかし、しらうおの鮮度落ちの速さは、驚くほど早い。生きているときは透明だが、空気に触れると次第に白く色が変わりはじめ、水揚げ後には多くが死んでしまう。繊細なしらうおは命も儚い。「美人薄命」なのだ。

漁獲量日本一なのに誰も知らない <br />青森の秘境・小川原湖の「しらうお」に春が来た!水揚げされたしらうおは、組合自らで運営する「小川原湖地区卸売魚市場」でセリにかけられる

 よって1回網を上げるたびに、しらうおを付属船に乗せて猛烈な勢いで港へ向かい、市場でセリにかけられる。

 組合の事務所で、水揚げされたばかりのしらうおをいただいた。透明な身体にザッとしょうゆをかけて食べる。「うわっ!」。思わず声をあげた。

 食感は弾けるようにコリコリ、プリプリ。噛むと、みずみずしくジューシーで、とろけるような旨み、そして口の中にほんのりした清々しい甘みが広がる。これまで食べたことのない味わい! しらうおの概念が変わった。漁師たちが「しらうおの刺身」を絶賛するのもよくわかる。初めて、しらうお本来の味を知ることができた。

 しらうおをイキのいい透明の状態で食べられるのは、まさに地元ならではの特権だったが、組合ではこの獲れたての美味しさを伝える商品も開発した。水揚げから2時間以内に洗浄、選別し、急速冷凍する工程を確立。全国でも数少ない冷凍しらうお商品「生白魚」が誕生した。解凍すれば再び透明になり、水揚げ直後の歯応えと味わいが家庭でも楽しめる。この組合で開発された「生白魚」、「釜揚げ白魚」はともに50gで680円だ。

 筆者も我が家の忘年会で、「生白魚」を流水解凍。透明に戻ったしらうおは、水揚げ直後に食べた、あのプリプリ、コリコリした弾力が見事に再現されている。友人たちには「しらうおってこんなに美味しかったの!」「しらうお、美しすぎ!」とビジュアル含めて大好評。つまみにもよし、手巻き寿司の具にしてもバツグン。初めての「家庭内しらうお」は食卓をキラキラと輝かせてくれた。

「生白魚」は10月には都のスーパーで販売され好評を博した。手応えを感じた組合では、来年度より本格的に販売をスタートする予定だ。「全国のしらうおの水揚げの7割が小川原湖。この商品をきっかけに小川原湖のことをもっと知ってもらって、小川原湖の幸をもっと食べてもらえたら」と細井さんは意気込む。

<取材にご協力いただいた方>
■小川原湖漁業協同組合
http://www.jf-ogawarako.com/