マンガならではの
わかりやすさに徹底的にこだわりました

 では、かんたんに『コミック版』のストーリーをご紹介しましょう。

 ユニコの神奈川工場所長・新城吾郎は、長引く採算悪化を理由に、突然、本社から工場閉鎖を告げられる。残された時間はわずかに3ヵ月。このままでは工場は閉鎖され、多くの人が職を失うことになる。半ば諦めかけていた彼だったが、学生時代の恩師ジョナに偶然再会し、工場再建の意欲を燃やしはじめる。

 ジョナは、これまでの生産現場での常識を覆す考え方で、工場が抱える問題を次々に科学的に解明していく。そのヒントをもとに工場の仲間たちとたゆまぬ努力を続け、超多忙な日々を過ごす吾郎だった。だが、あまりにも家庭を犠牲にしてきたため、妻の純子は姿を消してしまう。仕事ばかりか、家庭崩壊の危機にもさらされた吾郎は……。

 監修を務めたワタクシ岸良は、実は高校時代マンガ研究会に所属(一皮むけばオタクと言われるのはそのためかと……)。原作のストーリーに忠実に、そして進化し続けるTOCの最新の知識体系も紹介し、しかもマンガならではのわかりやすさを徹底的に追求しました。

 小説だとどうしてもあいまいになりがちな部分も、マンガでは通用しません。ゴールドラット博士は、『ザ・ゴール』でほんとうは何を伝えたかったのか――本質的なところまで考え抜く必要がありました。おかげで私自身、ものすごく勉強になり、理解が深まりました。

 監修にあたり、「エンターティメント性のあるマンガとして成立している」「本格的な全体最適のマネジメント理論を妥協せず、やさしく学べる」――この2点に徹底的にこだわりました。これまで『ザ・ゴール』を読みたくても、活字が苦手だったり、あのボリュームに負けて手が出なかった方々にも喜んでお読みいただけるものと思います。