──古賀さんのほうに寄せられる、意外な声などはありますか?
ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。臨場感とリズム感あふれるインタビュー原稿にも定評があり、インタビュー集『16歳の教科書』シリーズは累計70万部を突破。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』がある。
古賀 この本を刊行するとき、いちばん不安だったのは「哲人と青年の対話篇」という特殊な形式で書いたことでした。賛否両論あることはわかっていたし、否定的な意見のほうが多くなることを覚悟していたくらい、不安は大きかった。でも、思いのほか好意的な反応が多かったのはうれしい驚きでした。
岸見 プラトンの時代から、哲学はしばしば対話篇の形式を採用してきました。そしてわたしは、アドラーのことを心理学の範疇を超えた哲学者だと思っています。この対話篇形式が受け入れられたことも、むしろ自然のことだと思えます。
古賀 そうですね。アドラーの思想について、読者の方々が疑問に思うだろうことを、ぜんぶ「青年」が執拗に食い下がって質問攻めにする。一人称形式で書かれた本では、なかなかこういう流れにはできません。
岸見 これでもか、というくらい激しく食い下がりますから。
古賀 おかげで、取材などで記者の方から「てっきり作中の『青年』みたいな激しい方だと想像していました」といわれることが多いです(笑)。
岸見 普段の古賀さんは優しい方なのにね(笑)。