元自衛官でジャーナリストの江口晋太朗氏も民主主義における参加のプロセスの観点から、憲法解釈の変更による行使容認に反対している(『問われているのは日本のプリンシプル 民主主義のプロセス軽視の行使容認に反対』)。

日本を巡る国際情勢に対する認識

 日本を巡る安全保障環境の変化の中で、安倍首相が集団的自衛権の行使が必要なケースとして、朝鮮半島有事に際して、邦人を救出した米艦船の事例などを挙げて説明した。軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が連載「戦略目からウロコ」で、各事例の現実性と問題点を詳細に検討している(「安保法制懇の「4類型」「5事例」を徹底検証」「迷走始めた『集団的自衛権行使容認』議論」「安保法制懇が挙げる『グレーゾーン』は存在せず」)。政府が挙げる各事例では、個別的自衛権で対応可能なケース、憲法を変えないと無理筋のケースがあるうえ、行使内容の限定論に至っては、現在よりも後退することもあると指摘する。

 首相の挙げた事例、日本を巡る安全保障環境に対する認識の問題点、こらからの戦争の変化を見通したうえで、日本の役割を包括的に論じたのが、国際政治・外交史の大家で前関西学院大学教授・豊下楢彦氏の『行使容認の閣議決定をどう見る 戦争の「備え」なき戦争へ』である。そもそも日本国憲法は戦争を前提にしておらず、土台のないところに急いで家を建てようとしているようなもの、とその危うさを指摘している。

 日本総研国際戦略研究所理事長の田中均氏も連載「世界を見る眼」で、外交官として長く日本の安全保障問題に携わってきた経験を踏まえて、集団的自衛権問題を包括的に論じている(『まず集団的自衛権の行使容認ありきではあるまい 安全保障体制の強化のためになすべきことは?』)。

 一方、政権与党の立場から、集団的自衛権について応えているのが、自民党・石破茂幹事長(当時)のインタビュー(『冷戦時代と安全保障環境は全く違う 解釈変更で行使可能となる理由を語ろう』)。安全保障環境の変化に対する認識、集団的自衛権の必要性、なぜ憲法解釈の変更でよいのかについて、余すところなく語っている。