先の衆院総選挙における民主党の圧勝を受けて、このほど鳩山政権が大きな期待を背負って始動した。しかし、16年前に成立した非自民による細川連立政権を内側から支えた山田 宏・杉並区長は、当時を振り返り、民主党政権の先行きを客観的に見つめている。民主・自民という二大政党の衰退を予想し、電撃辞任した中田 宏・前横浜市長らと「国政の受け皿作り」に意欲を示す氏が、胸の内を語った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

やまだ・ひろし/1958年生まれ。東京都出身。81年京都大学を卒業後、松下政経塾に入塾。東京都議を経て日本新党の立ち上げに参加し、93年に衆議院議員に当選。細川連立政権では、日本新党の立法調整委員長を務める。その後99年に杉並区長に当選し、以降3期に渡って「国と地方のあり方」を問い続ける。杉並区長時代のユニークな行政改革は、「杉並改革」と呼ばれている。

――1993年の政権交代時に、日本新党の立法調整委員長(国会対策委員長)を務めた山田区長は、細川護熙元首相の懐刀の1人だった。現在の民主党幹部の中にも、かつての同志が多い。そのような立場から、今回実現した民主党政権の意義をどう評価するか。

 自民党、官僚、業界団体によって支配されてきた財源分配の利権構造、いわば「鉄のトライアングル」を、打破することを期待している。民主党の存在意義は、「このトライアングルに入っていなかった」ことにある。だからこそ、総選挙で勝利できた。

 トライアングルから排除されているのは、地方自治体も同じだ。地方自治体首長としては、政権交代を契機に、地方への「財源・権限の移譲」を一気に進めてもらいたい。

 しかし実際には、民主党の政策は国家によるバラ撒き体質を含めて、「自民党の亜流」に過ぎない。今後の予測は、「自民党が民主党に摩り替わるだけで官僚主導政治が続く」というシナリオが8割、「鉄のトライアングルを打破できる」というシナリオが2割といったところだろう。

――かなり手厳しい見方だが、どういう根拠があるのか。

 かつて国政の場にいたとき、私自身がこのような利益構造を改革しようとして、挫折した経験があるからだ。

 私は細川政権当時、日本新党の立法調整委員長として、与野党の国対委員長同士による「取り引き政治」を止めさせることができなかった。政策の根幹が、与党幹部と与党に忠実な一部の官僚だけによって作られる体制も、変わらなかった。