4:自分が動いてしまう「トリガー」をつくる
自分で自分によいイメージを持てるようにするために「儀式」の力は効果的です。スポーツ心理学では、選手がプレイに臨む際に自分だけの習慣をルーティンとして行うことは、心身を安定させて集中力や自信を高める働きがあるとされています。
メジャーリーガーのイチロー選手なども、打席に入るとき毎回決まった動作をしてからバットを構えますよね。これが彼にとって自分の潜在能力を引き出す「トリガー」(引き金)になっているのです。テニスでもトッププレーヤーになるほど、試合中に同じ動作をくりかえすことが知られています。
スポーツ選手でなくとも、勉強や仕事に取りかかる前に、たとえばお気に入りの曲を聴いてからやるとか、好きな飲み物を用意してから始めるというような「儀式」を取り入れることで、自分にスイッチを入れることができます。
私の場合、「集中したいな」というときに必ずやるのが紅茶を入れること。イギリスで買ってきた好きなブランドの紅茶を入れて、豊かな香りに包まれると留学当時のことを思い出し「あのときもできたのだから、今回もできるだろう」という気持ちになれます。
紅茶なら何でもいいというのではなく、私にとってはケンブリッジにいたときにいつも飲んでいた「フォートナム&メイソン」というロンドンの老舗百貨店の紅茶がトリガーになっています。日中に街で飲むのとは違う香りが、心のスイッチを入れてくれます。
他にも私はいいイメージを持つために、大きな講演や大切な交渉ごとがあるときには、高校生のときに祖母にもらった鉛筆を持っていくようにしています。大学受験の際、この鉛筆で合格できたので、この鉛筆をじっと見つめると「うまくいく感触」がよみがえるのです。