珈琲好きの母親に現れた決定的な変化が、
私に決心をさせた
母は、海外旅行のたびに買い求めたいくつものお気に入りのカップの中から、毎日その日の気分でカップを選び、コーヒーを飲むのが習慣の自称「珈琲通」です。
ところが、いつの間にか台所の食器かごに置かれていたのは、キャンプで使うようなホーローの歯磨きカップのようなものでした。よく見まわすと、キッチンには1人用に新しく買った小さくて軽いミルクパンやフライパンと、昔から使っている大きな雪平鍋や大鍋が混在し、かえって物が増えている印象を受けました。
さらに驚いたのは、年を取ったという理由で、冷蔵庫を大きなものに買い替えていたことです。母はひとり暮らし。ファミリーサイズの冷蔵庫なんて必要ないはずなのですが、買い物に行けなかったときの不安から、まとめ買いができるようにしたと言います。しかし、冷蔵庫の中には案の定、食べきれなくて賞味期限切れのものが……。
このときを機に、私は実家を片づける決心をしたのです。