高度な治療が必要ないのに通ってくる患者が多い大病院は、健康保険の初再診料が引き下げられ、その分、患者に自費(保険の効かない選定療養費)を請求するような診療報酬体系に見直されたのだ。

 紹介状を持たずに受診すると患者の負担が増える仕組みにして、軽症患者を診療所や中小病院に誘導するように図ったわけだが、やむを得ない理由があったり、緊急の場合は適用されないことになっており、必ずしも初再診料が高くなるわけではない。低紹介率初・再診料の導入も、医療機関の機能分化に大きなインパクトを与えるものとはなっていないのが現状だ。

 そのため、大病院の通院患者のうち6~8割は紹介状を持たずに受診しており勤務医の負担は一向に改善する兆しを見せていない。

 そこで、これまで病院の裁量に任されていた紹介状なしの患者への選定療養費を義務化し、患者負担を引き上げることが冒頭の「医療保険制度改革案の骨子」で打ち出されたというわけだ。

定額負担の義務化で
大病院の受診抑制を図る

 骨子で示されたのは、紹介状を持たずに受診した患者に対して、窓口での一部負担金(年齢に応じて、かかった医療費の1~3割)加えて、一定額の負担を求めるというもの。

 対象になるのは特定機能病院(大学病院や国立病院機構など)やベッド数が500床以上の地域の大病院で、初診時に5000~1万円を通常の医療費とは別に患者に請求するという案が打ち出されている。

 ただし、2006年に参議院厚生労働委員会で採択された改正健康保険法には、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする」といった付帯決議が付けられている。

 法律の附則に、自己負担割合は3割以上に引き上げないことが記されているため、定額負担の義務付けは整合性がとれなくなってしまうのだ。