家族の介護・看護をしながら働く人は約365万人となる一方、仕事との両立が困難となって離職する人は年間10万人を超える。こうした人々を支援するための育児・介護休業法は施行して30年以上経つが、介護では制度利用が低率。原因となる制度認知の低さ等を解消すべく、2025年4月に同法が改正され、企業に対して労働者への個別周知・意向確認等が義務付けられた。その特徴を厚生労働省の担当官に聞く連載3回の最終となる3回目は、「介護離職防止を支援する助成金と、すぐに使える支援ツール」について解説してもらった。(聞き手/ダイヤモンド社 論説委員 大坪 亮、文/ライター 奥田由意)

中小企業のための
「介護離職防止支援コース」の助成金

――中小企業向けの助成金についても制度がありますね。両立支援等助成金の「介護離職防止支援コース」について概要を教えてください。

 介護離職防止支援コースは、労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組む中小企業を支援する助成金制度です。これまでお話した改正法が、企業の規模を問わず全ての企業が対象であるのに対し、これは、中小企業向けです。助成金制度は独立したコースとして設けられており、主に三つのメニューで構成されています。

 一つ目のメニューは、介護休業の取得・職場復帰支援です。介護休業を取得した労働者が職場復帰し、就業継続につながった場合、1人当たり40万円が支給されます。これは1事業主につき5人までが対象となります。要件として、介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針の社内周知、労働者との面談実施と支援プランの作成・実施、対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、休業後も原職等に復帰して3カ月以上継続雇用されること等が必要です。

 二つ目のメニューは、仕事と介護の両立支援制度の利用促進です。時差出勤、短時間勤務、在宅勤務、フレックスタイム制等の制度を導入し、実際に労働者が利用した場合に助成されます。制度を1つ導入して労働者の利用があれば20万円、2つ以上導入して1つ以上の利用があれば25万円が支給されます。

 三つ目のメニューは、業務代替支援です。介護休業や短時間勤務の利用者の業務を他の労働者が代替することへの支援で、二つのパターンがあります。まず、介護休業取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受け入れた場合は、20万円が支給されます。もう一つ、既存の労働者で業務を分担し、代替者に手当を支給する場合は、その仕組みを整備した企業に対し、介護休業取得者の代替で5万円、短時間勤務者の代替で3万円が助成されます。

 この業務代替支援は特に重要な意味を持つと考えています。介護休業を取得した人の業務は誰かが引き継がねばなりません。周囲の労働者の負担が増えることで、職場に不公平感が生じるのを防ぐためにこのメニューがあります。業務を代替した人への適切な評価や手当支給により、職場全体のバランスに配慮した取り組みを促進するものなのです。

――助成金制度も以前から存在していますが、利用状況はいかがですか。

 コンスタントに利用されています。特に介護休業取得への助成は、多くの企業で活用されています。引き続き、制度の活用促進に向けた周知などに取り組むとともに、制度自体に関しても必要に応じて見直しの検討を行っていきたいと考えています。