【リーダーの勘違い】
若手メンバーが「やりたい」という仕事は
基本的にやらせることにしている

 相性は無視するものの、適性についてはとことん考え抜く。私はチームづくりの際、その点を心がけています。適材適所とよく言われますが、その人の力を最大限に引き出せる配置をすることが、チームづくりにとっての要だと考えているのです。

 ・ビジネスパーソンとしてのスキル、強み
 ・性格面も含めた人としての考え方、性格

 この2つをチームメンバーの「スペック(仕様書)」だと捉えて観察し、正確に見抜く。そのうえで、メンバーが最大限に活躍できる場やポジションに配置できたら、本人は成長するし、チーム全体の勝利にもつながります。

 その人の「スペック」を見抜いて配置するのは簡単ではありません。そこで私自身がつねに注意していて、オイシックスのリーダーにもよく言うのは、「本人の志望は無視する」ということ。「好き嫌い」ではなく、「向き不向き」で配置するのです。

「君は何がやりたいの?」「どんな仕事が好きですか?」と聞いたとき、本人の口から出てくる答えが本当に「向いていること」とは限りません。なぜなら、どんな仕事をやりたいかについては、驚くほど多くの人がイメージに左右されています。特に若い人や新人であれば、その傾向は強くなります。本人の発言を鵜呑みにしてはいけないのです。

 仕事の実情を知らずに単純に「あの仕事が好きだ!」と思い込んでいたり、「商品開発のAさんは楽しそう。私も商品開発をやりたい」と憧れていたり。上司に何をやりたいか聞かれたから、それほど強い興味があるわけではなくても「特にありません」と答えるのは気まずいので、「なんとなくやりたいもの」をとりあえず答えただけというケースもあります。

 それを踏まえずに、「君、広報が好きなの? じゃあ、やってみなさい! 自分で言うならモチベーションも高いからうまくいくだろう」というリーダーは、マネジメントという大切な仕事を放棄しているようなものです。

 本人も気づかない埋もれたスキルを引き出し、チームの勝利に貢献してもらうには、リーダーがメンバー自身よりも、その人の適性を把握していなければなりません。

 夢中になるものを探しているけれど、何に夢中になれるかわからない。そんなメンバーの“答え探し”を手伝うのもリーダーの役割です。

 正確にその人のスペックを見抜いたうえで判断しましょう。本人にとっては想定外の配置であってもかまいません

「商品開発がやりたい」と言っていた人に「君の仕事の正確性は抜群だと思うよ。だから品質管理をやってもらう」と言えば、びっくりしたり反発したりするでしょう。しかし、本当に適性があれば、新しいポジションで成果を出します。成果が出ると面白くなり、ますますスキルが上がります。やがて「自分が貢献できている、チームの役に立っている」と実感できるようになれば、それがそのメンバーのやりたい仕事になっていきます。

{チームの相性問題}に効くレシピ2
本人の志望ではなく「向き不向き」で判断する

次回は、「どんなにアツく語っても、メンバーが白けてしまって動いてくれない」という【リーダーのつまづき】に効くレシピを紹介します!(2/10公開予定)